日奈久の温泉は、飾りっけのないすっぴんの温泉だ。泉質は、体にやさしい弱アルカリ単純泉。やわらかいお湯とかすかな硫黄の香り、黄色く色づいた湯口が、名湯の証だ。リウマチ、神経痛、切り傷などに効くといわれ600年前から多くの人々が湯治のために訪れて来た。「どっから来なったな?」と湯気の向こうから地元のおじいちゃんが気さくに話しかけてくれた。病気知らずの八十歳、毎日ここに通っているという元気な笑い声に、名湯であることを再確認した。 |
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松の湯と湯札 昭和一桁に開業された銭湯。脱衣場より低い湯船や、自然換気のための天井の通気口など、随所に創業当時の面影を残す。番台は、湯札を買い求める地元の常連客で毎日賑わっている。 |